10月に日本大使館に公使・総領事として着任いたしました。 代々の前任者は名誉会長として御一緒させていただいてきた とのこと、そのような機会をいただけることは大変ありがたく、 未熟者ではありますが、よろしくお願いいたします。
簡単に自己紹介を申し上げますと、前任の川瀬と同じ 1995 年に外務省に入って、翌年から 98 年までオックスフォード、 次いでロンドン(キングズ・カレッジ)で研修をしました。ブレア首相が颯爽と就任した頃です。また、次いで、2008 年 から 2010 年までは、今般外相としての政界復帰で話題になっ たキャメロン卿が連立政権を発足させた頃ですが、この国の 外交と内政を追いかけていました。英国滞在の合間には、南ア、 パキスタン、エジプトでの勤務をはさみ、今回はニューヨーク の日本政府国連代表部から移って参りました。
ニューヨークにいたときに、シンガポールの外交官と話していた際、「シンガポールの国鳥が何か、知ってるか?」と聞か れたことがあります。港町だし、東京と同じシーガルかな、と答えたところ、クレーンだ、と言うので、鶴にシンガポール は暑すぎないか、と真面目に聞き返したら、建機のね、とい うジョークでした。シンガポールには本当は何もない、どん どん新しい魅力を建設していかないと人は引きつけられないから、だそうです。
イギリスはその対極のような国ですが、そう見えて、今はしっ かり日本大使館裏にもクレーンがおります。10年前後の間隔 で来てみると、ふらふら街を歩いて、変わったもの、変わら ないものを見つけるだけでも楽しい日々です。そんな中ですの で、こちらにずっといらっしゃる皆様からそういうもの、そして、 なにより、着実に存在感を増している 様々な「日本」がどう根付いてきたの か、御一緒する中で色々教えていた だけることをことさら楽しみにしており ます。よろしくお願いします。
孫崎 馨