紅葉会部

●懇親会「おりがみワークショップ」●

三寒四温の2月のお天気が続く中、2023年2月23日、114 Mount StreetのFarm Street Churchに於いて、紅葉会部懇親 会が行われました。春の日差しが待ち遠しいこの日の気温は8 度C。参加者は26名。

(13:00-14:15) 早川ひとみ紅葉会部長、ウインター千津子英国 日本人会会長のご挨拶、新入会員の紹介、会員の皆様はご自身のお弁当で昼食

(13:15-15:30) Bring & Buy

(14:15-14:50) アーテイスト ビドル恵さん御指導による折り 紙教室。この日は2023年の干支に因んで3種類の兎を制作し ま し た 。と て も 解 り や す い 図 入 り の キ ッ ト を 準 備 し て く だ さ っ た のですが、いざ実戦となるとあちこちから「先生!」「センセー!」 と助けを求める声が上がって、ビドルさんは個別指導に大忙し でした。やれやれやっとのことで皆様の前には赤い目の、様々 な表情の小さな兎たち(切り紙兎、風船兎、折り紙兎)が並びました。簡単そうに見えたの はなぜ?実はとても難しい 兎たちでした。

(14:50-15:10)お茶の時間

(15:10-15:30) スクリー ン を 使 用 し て 、懐 か し い 歌 「少年時代」「春の小川」などの合唱。もっと歌いたい方がたくさんいらっ
し ゃ い ま し た の で 、次 回 も
このような催しを企画し
て ゆ き た い と 思 い ま す 。
(15:45) 閉会

またまたあっという間に時間が過ぎてしまいました。 また次回の懇親会で皆様とお目にかかれるのが楽しみです。

ご存じですか? 伝承折紙「秘傳千羽鶴折形」

1枚の紙から連続した鶴を折り出すための用紙の切り方展開 図と、その完成図49種類を紹介し、さらに、それぞれの連続し た鶴の形態に粋な銘をつけ、その銘に因んで狂歌を詠み込ん だものです。なお、切りくずを出さないで作ることが文中に記 してあり、折り紙の特質を生かした作者の工夫と技工の卓抜 さを感じさせます。 本書は、寛政9(1797)年、京都の吉野屋為八刊行のもので、現 在残存している冊数は極めて少なく、稀覯中の稀覯本です。こ の本は当時評判がよかったようで、3年後の寛政12年に京都 の吉野屋のほか、江戸や大坂の5店連名で再版されています。 本書には、奥付けに刊行者名が明記されているほかに、編著 者のものと思われる「籬島」という名の朱印と、挿絵担当の絵 師のものと思われる、風流人の姿を小さく描いた絵の朱印が、 序文最後に直接押してあります。これらの印は初版本にのみ 見られます。折り紙の考案者については、本文の中で「勢陽九 花魯縞庵(せいようくはなろこうあん)のあるじ」であることが 紹介されています。この人は三重県桑名市の長円寺(ちょうえ んじ)の住職で魯縞庵義道(ろこうあんぎどう)(1759~1831) といい、当時の桑名の地誌『久波奈名所図会(くわなめいしょ ずえ)』(1802年刊)や『桑府名勝志(そうふめいしょうし)』の編 著者として知られた才人です。義道は、この地誌を著すのに、 当時、著名な『東海道名所図会(とうかいどうめいしょずえ)』

(1795年刊)に大いに刺戟を受け、その編著者であった秋里 籬島(あきさとりとう)と交流があったと思われます。これが縁 で、著述家の籬島は、義道の作った連鶴に自作の狂歌を添え て本書を編したことが窺(うかかえ)ます。「籬島」の朱印は編 著者としての印(しるし)といえましょう。

また、本書の挿絵は、『東海道名所図会』の挿絵をかいた数名 の絵師のうち、竹原春泉斎(たけはらしゅんせんさい)の絵に 見られる、やわらかく自然な線の流れや人物表現の特徴から、 彼の作画であることが分ります。従って、絵の朱印は彼のもの と思われます。 本書は人物の表記になぞめいた面がありますが、折り方につ いても、その過程は一切示されておらず、展開図と出来上り図 が示してあるのみで、多分になぞ解きめいたものもあるよう です。現在、この折り形の完全復元を試みた折り紙作家の笠原 邦彦氏の完成作品が、当教育博物館に収蔵されています。 玉川大学教育博物館「全人」1990年6月号(No.504)より

左図 釣舟(つりふね)きりかた 右図 狂歌
釣(つり)ふね
妓王 妓女 仏ももとは 凡夫なり 妻こふ鹿も 尼をつりふね