二水会

● 2022 年 2 月の報告●

日 時:2 月 9 日 ( 水 ) 午後 8 時より 講 師:上野直之様 演 題:新幹線誕生ものがたり 会 場:ZOOM スクリーン上 参加人数:45 名

JR 東海の上野様にご講演をいただきました。今年は「のぞみ」 が 30 周年を迎えるという記念の年であるとご紹介いただき、 時の流れを感じつつお話に聞き入りました。「鉄道」の発祥は、 皆さんご存じの通り英国ですが、1803 年に馬が「鉄の道」を 使って材木の運搬を行ったのが始まりであることや、人を乗 せた最初の「鉄道」は馬が引いた「客車」( 細長い荷台のよ うなものに人が沢山乗ったもの)がスワンジーを走ったことな ど、当時の時代背景を想像せずにはいられないお話が写真と ともに紹介されました。一方日本では、ペリーが浦賀に来航 した 1854 年の翌年に、佐賀藩で鉄道の模型が完成されたこ と、実際の鉄道の運航は 1872 年の新橋―横浜間であったこ と、また、その建設は着工から運航開始までにほんの 2 年半 だったことなどのお話があり、そのスピードには驚くばかりで した。さらに、日本の鉄道誕生に影響を及ぼした人物として 紹介された、エドモンド・モレルは 30 歳、大隈重信は 32 歳、 長州ファイブの一人の井上勝は開業した 1872 年当時 29 歳と いうことに、もっと驚きました。 鉄道の軌道の幅の国による違いについては、どういう経緯で それが生じたのか、世界地図上の色分けを見ながら、世界の 歴史と西欧列強の力関係などについて、興味が湧いてくるお 話でした。日本では、当初の「弾丸列車」計画が、戦争で中断せざるを得なかったことなど、社会情勢の影響を受けたこ とは初めて知りました。デゴイチ(D51 型)を手掛け、弾丸 列車計画にも参加された島秀雄さんは、十河国鉄総代と並 び、新幹線の父と言われており、その人は広軌論を唱えた島 安二郎さんの息子とのお話がありました。実社会、学問やス ポーツなど、親や周りの環境に引っ張られて大きな功績を残すサクセスストーリーを耳にしますが、新 幹線の事業は、島さんが親子で成し遂げ た成功だと言ってもいいのではないかと感 じました。英国での仕事・生活で、言葉 をはじめ、社会・経済などの知識の不足 を日々感じる自分の状況を考えながら、い ずれ自分の知識・経験が何か、誰かの役 に立たれる日が来るのだろうか、とふと思 いました。

エリザベス女王ご夫妻が 1975 年に新幹線 に乗車した写真を見て、国が誇れるものが あるというのは素晴らしいことだと思いま した。新幹線駅構内の碑に記載されてい る、新幹線は日本人の叡智と努力の結晶 である、という言葉をご紹介いただき、不 思議とその通りなんだろうな、という納得 感がありました。東京駅のプラットホーム 19 番には、十河総裁のレリーフがあると聞き、今度東京駅で新幹線に乗るときには見に行ってみたい と思いました。

質疑応答では、JR パスの人気の高さを感じる発言を沢山い ただきました。日本に帰る度に、新幹線をはじめ日本の鉄道 を楽しんでいるという鉄道ファンの方もいらっしゃって、講師 の上野さんも特に喜ばれていました。また、日本の鉄道技術 は世界一だという激賞と、それをリードする JR 東海さんには、 これからも世界一であり続けてください、という激励のご発言 がありました。その他、マグレブ(リニアモーターカー)につ いては、建設は進んでいるものの、2027 年の開業予定の遅 れは避けれられないだろうとのお話がありました。世の中が どんどん変化する中で、人々の移動手段がどのように変わっ ていくのか、遠い未来のことは想像がつきませんが、これま でのように(またはそれ以上に)、日本が世界の中で存在感を 発揮してほしいと思った講演でした。(伊東ノリ)

● 3 月二水会のご案内●

日 時:3 月 9 日(水)午後 8 時より

演 題:今までのインターネット、これからのインターネット

講 師:西川善高様

https://forms.gle/5dwwBKSGGew1Skfe9