渡邉道英 さん『追悼 渡哲也くん(8月10日逝去 享年78歳)』

1941年(昭和16年)生まれの芸能人はとにかく多い。世界 的歌手となった「坂本九」さん、お笑いの世界では「欽ちゃ ん」、映画スターも例外ではありません。「石坂浩二」「三田 佳子」「川谷祐三」さんなど枚挙にいとまが無い。中でも、最 後の銀幕スターとして異彩を放ったのが「渡哲也」さんでし た。国民的大スター「石原裕次郎」を敬愛し、せっかく入社し た日活撮影所を飛び出し、「石原プロ」に参加、大病を患った 石原裕次郎に付き添い、石原プロ制作の大作映画『黒部の 太陽』『栄光の5000キロ』『富士山頂』『蘇る大地』などに参 画。TVでは『西武警察』など人気シリーズのリーダーとして 大活躍。「古武士」の様な「空手道」に秀でた人物、まこと男 花のある俳優として後輩からも愛された兄貴分。個人的には 彼も私も同時に映画界に入り、会社は日活と大映の違いと、 俳優と助監督の違いはあるものの、同じ映画制作に身を置い た私たちでした。彼の「新人映画スター誕生」の報道はもの 凄いものでした。私は6月生まれ、彼は12月生まれ、更に互い に父親が帝国海軍呉軍需部に所属であって、呉市生まれ。戦 後の幼少年期を父親の郷里瀬戸内海(淡路島と今治市)で過ごした。映画界に関しては勝新太郎さんと石原裕次郎さんと が互いに独立プロダクションを立ち上げ、兄弟の如く接してい た頃、渡哲也さんと会ったことがありました。しかしその時は 黙礼しただけで、話したこともありません。しかし惹かれるも のが多く、いずれ私の映画作品には出演してもらうつもりでい ました。まことに残機に耐えません。

 

現在急ピッチで『瀬戸内パイレーツ(河野水軍ー村上水軍)』 の映画化に取り組んでいます私達ですが、時代劇のスペシャ リスト(スタッフ)、役者などが次々と身罷っていきます。時間 がありません。時代劇(アニメでは無い)に興味を持つ新人た ちを育成することも併せて、次世代に日本映画の特異な分野 『時代劇(サムライの世界)』を継承していくことに重きを得 ています。「遅すぎた助監督たち」と報道されたこともありま したが「どっこい生きている」と2年後を封切りを目途にして、 準備態勢に入りました。渡哲也君!貴兄が残した映画製作の 炎を消さない様に決意しました。 いずれ天国で語り合いましょう!合掌 越智道英(助監督時代の旧姓)