会員紹介

今月は各分野でご活躍されている3名のJA会員をご紹介します。

 

田口晴恵さん

 

手ごろな価格で、美味しい和菓子をロンドンで34年

 

赤茶色のドアを開けて一歩入ると、カステラのほのかに甘い匂いが鼻をつく。

そこは和菓子の別世界。赤いオーバーオールを着て 白いネット帽をかぶった約15人の従業員が、どら焼きをほぼ手作りで製造している。

ここはロンドン郊外フォレストヒルにある田口晴恵さんが34年間かけて育てた Wagashi Ltdの工場。ジャパンセンターはじめロンドンのほぼすべての日本食品店、YO Shushi、Wasabi,で販売しているどら焼きは晴恵さんの製品。

パッケージング (と小売価格)は販売店によって違うが、中身はまったく同じ。日本 から空輸されたあんがたくさん詰まっているWagashi Ltd製どら焼き。今はさらに、抹茶マスカポーネ、レモンチーズケーキ、カスター ド等全12のフレーバーが揃っている。

 

 

無論中身も「皮」もすべてこの工場で作られている。「美味しい、と言われるのがやっぱり一番 うれしいです。」晴恵さんは二階の休憩室のソファーに座って目を 細めて言う。.和気あいあいとした雰囲気が漂う工場。従業員は日 本人7人を含む21人。シフト制で朝4時から製造は始まる。「皆よく 働いてくれています。」と晴恵さん。

実は、晴恵さんの実家は、東京千住にある喜田家という歴史65年 を誇る和菓子屋さん。父親の栄一さんが1955年設立し、今はエネ ルギッシュな姉の恵美子さんが経営し、大納言どら焼き、「千住最中」、「江戸太鼓」饅頭等を全国20店舗で販売している。そこで生まれ育った晴恵さんが、「ロンドン店」を夫のピーターと一緒に設立したのは34年前。

その間本家恵美子さんの支援とアドバイスに 支えられてきた。ベテラン職人を東京から派遣してくれた時もあ る。「本当に皆の協力でここまできました。」と晴恵さん。

晴恵さん のモットーは、「美味しく、手ごろな値段で、皆に喜んでもらえる和菓子を作ること」。これは父栄一さんのモットーでもあった。

敬虔な クリスチャンでもある晴恵さんは、慈善事業にも熱心で、自社製品 を頻繁にチャリティーイベントに寄付している。昨年の日本人会の 忘年会にも大量に寄付して下さった。EUの規制に従い、どら焼き はすべて製造直後冷凍され、出荷されている。でも、その小売店の 解凍技術によって美味しさが多少異なることがある、と晴恵さん。 むろん英国在住の日本人は重要なお客様。しかし今大半は、ヨー ロッパのオリエンタル食品店に収められている。昨年暮れからドイ ツから大量注文が入るようになり、対応に四苦八苦している。ドイ ツの注文は抹茶マスカポーネとレモンチーズケーキ。一時は機械化も検討したが、従業員の希望もあり、 今までどおり手作りを続けることにした。

「大きくしようとは思っていません。今まで通りに家族的に運営して、働いてくれ る人と一緒に幸せを築きたいです。」と 晴恵さんは笑顔で話してくれた。

 

 

文: 原信子

注: COVID-19の影響で、真に残念ながら、Wagashi Ltdも3月 27日限りで、生産を停止しました。このパンデミックがおさまり、一 日も早く生産再開となる日を祈ります!

 

 

 

小川典子さん

 

各国で活躍しているピアニスト。学生の教育指導にも従事

 

はじめまして。英国日本人会に新しく加えて頂いたピアニスト小川 典子です。どうぞよろしくお願いいたします。私は1987年リーズ国 際ピアノコンクール3位入賞以来、英国と日本に拠点に活動しております。この30数年、毎週いろいろな国に行き、演奏をし、音楽大学や音楽祭で教鞭をとり、国際コンクール審査をする生活を続けてまいりました。

今回は3月10日ロンドンに戻り、5月初旬まで英国内各地と近隣諸 国を訪ねる予定でした。英国ロックダウンの影響で、演奏会の予定はすべてキャンセル。突如、思いがけず自宅で規則正しくシンプルな生活を送ることになりました。時差ボケが日常だった私が睡眠をきっちりとれる、体内時計の存在に驚いています…世界中の音楽家たちが、いま私と同じことを考えていることでしょう。

日中に眠くならないことで功を奏したことがありました。夏秋に発売されるCDの「編集チェック」です。リリースされるのはフランス の作曲家サティによる「ヴェクサシオン(いやがらせ)」。わずか1分 ほどの曲を「840回繰り返すように」と作曲家からの指示がある珍 曲です。私の録音はCD1枚分142回の反復をしています。この録音をくまなく確認するためには眠気厳禁!…と言うわけで、イライラしながらも (写真参照)無事に確認作業を終えることが出来ました。

 

 

器楽演奏の習得には、至近距離で1対 1の指導が原則です。が、学生に会えない今、音楽教育現場は変わり身の早さを求められました。臨機応 変はお家芸のイギリス、音楽大学教授陣は、現在オンラインレッス ンで学生の向学心に応えています。一日で豪州・日本・スペインの 学生たちに会い、ロンドンの自室にいながらにして世界旅行。インターネット回線で聴くピアノの音は歪みがあるものの、まじめに勉学に励む学生たちの演奏を聴き、彼らの家を見ることが出来ます。 国際コンクール世界連盟の役員会議は、アジア・欧州・米国にまた がる役員たちとインターネット回線で繋ぎ、丁々発止。朝日が昇り かけている米国・どっぷり夜が更けているアジア。未来映画で観た テレビ電話そのものです。

ある日は、苦手な裁縫に挑戦。手作りマスクを作ってみました。

5 防菌効果のほどには疑問が残りますが、着けていれば、私がソシアルディスタンシングに真剣であることをわかってもらえま す。そのマスクを着けて、近くまで買い出しに行きます。また、棚 に眠っていた小豆と寒天をみつけて水ようかんを作り、いつも 留守だからと我慢していた鉢植えハーブを購入。小さな幸福を噛みしめています。

天気の良い今日は、薄暗い ピアノ室から庭に出て原稿執筆をしてみました。川崎 育ちの私が、自宅の庭で優雅な時間を過ごすなんて夢みたい。 その光景に酔いしれるばかりで、筆の進みはゆっくりでした! 楽しいことが多い自粛生活ですが、心配が頭から離れることはありません。川崎の実家に母と妹一家がおりますので、日本から届く公共放送のラジオを毎時聴き、日本の様子を間近に感じるようにしています。

 

 

 

また、今後の予定も空の旅を伴うスケジュー ルばかり。このままでは、検疫生活と移動だけの日々となりそう で、頭の痛いところです。心配をする代わりに次の演奏会に向 けて練習を、新しい曲の勉強を…と言う因果な思いにもかられます。が、30年ぶっ続けで走ってきた自分に訪れた突然の静か な日々に、甘えた考えが頭をもたげるのを抑えられず、ピアノの 練習は、のんびりモードです。

 

小川典子(おがわのりこ)

ギルドホール音楽院教授・浜松国際ピアノコンクール審査委員長・ミューザ川崎シンフ ォニーホールアドバイザー・東京音楽大学特任教授・WFIMC国際音楽コンクール

世界連盟役員・ジェイミーのコンサート主宰・NAS英国自閉症協会文化大使

 

 

 

Paul Farrellyさん

 

A Corona Escape in the English Countryside

いりぎすのいなかでころなからのがれています

 

じゅうにがつのせんきょでいんたいする まで、わたしは18ねんかんのかいんぎいんとえいこくぎかいのにほんグルウポのふくかいちょうでした。 わたしのあきのすきなきおくはロンドンのリイジェンツパアクのさくらうええいこくのにほんきょうかいのSandyさのさんとでした。

わたしはそのあとねっしんに グルウプにさんかしました、でもおそらくゆいいつのいりぎすのメンバアいることをしりませんでした! こうじつるおかさんがあたらしいたいしにしゅうにんしてから、これはグロスタアデユクとやすまさながみねさんおいりぎすでさいしょ のイベントでした。

このにほんえいこくのぶんかのきせつのすばらしいさくらプロジェ クトはこくさいゆうじょうときょうりょくをしょうちょうしています。そしてげんざいのききのあとわたちたちのじんせいとけいざいをさいけ んするために、これがやしんてきなきぼでひつようです。

 

Three weeks ago, my family relocated to the in-laws’ farm in the countryside in the Wye Valley in Herefordshire, near the Welsh border. So there are eight of us: my wife, son, two daughters, brother-in-law, plus two big, black London cats. And they are enjoying themselves with the local mice, moles, shrews, voles and mating pheasants, thank you very much!

It was Mother’s Day on Sunday, 22nd March, when we arrived. This felt so strange, as it is the first time my mother-in-law is not with us here. She passed away, sadly, with cancer at the end of last year. The funeral was the Tuesday before election day, so I did not campaign.

My father-in-law, who built the house and barns in 30 acres of woodland, has been gone nearly seven years. There is no mains gas, only greedy wood stoves, no television and the internet is slow. But my wife Victoria, an architect, has plans to build a big new ‘barn house’, with Japanese charred oak. My main interest is the kitchen, though, for a good yakitori grill!

There is actually a Japanese House already in the Wye Valley – in Monmouthshire, just over the border in Wales, converted seven years ago by a Japanese-English couple. I miss my favourite izakayas in London, of course – but have just made a happy new discovery: there is now Japanese Matsuri food, Miniyakis, at the river nearby. For after the Corona crisis, that is. In the meantime, I am currently doing some consultancy work with the creative industries, helping freelancers and the self-employed. My wife, sadly, is busy ‘furloughing’ many good people in her team at the London conservation architecture practice, where she is a director.

When not sleeping, my son is chopping wood, after his bar job ended at Bristol University. My 18-year-old daughter’s A Levels have stopped and she is sad her school days have ended. But a fortnight ago her sister had fun, on her 14th birthday, with a first House Party online.

And there is cause for optimism. We adults, of course, have learned new skills: how to Zoom and Skype. And with the delay to the Tokyo Olympics, we can hope the Japan-UK Season of Culture 2019-20 will now last a whole year longer。

すてきなさくらがいっぱい!

 

The Japanese House in Monmouthshire: https://www.pinterest.co.uk/pin/213217363583704731/

Miniyaki’s at Symonds Yat on the River Wye: www.miniyakis.co.uk