福祉コラム

ENJA(European Network of Japanese
Associations)
第 8 回コペンハーゲン大会の報告
2017 年 5 月 19~20 日 (金~土曜日)
参加理事:竹中厚子/上田陽子
会場はコペンハーゲン
中央駅から 30 分程の海辺
の郊外超高級住宅地の一角
の東海大学の職員施設です。
固定資産税が一年間日本円
で 500 万と立派な施設と環境にまず驚きました。建
物の裏側海の向こうにスウェーデンが見えます。大
会参加者は日本から2名、ドイツ2名、デンマーク
5名、スイス1名、フィンランド2名、オランダ 3
名、イギリス 2 名計 17 名と参加数は少ないものの
中身の濃い大会でした。殆どの参加者及び講演者も
18 日午後入館し其処で合宿ですからケータリングの
夕食後早速に非公式ミーティングを夜 12 時近くま
で行いました。
主な議案は次回 ENJA 第9回の候補国について、
ENJA 今後について話し合いました。貴重な意見交
換になり次回第 9 回はドイツでの開催約束を確認し
て皆床につきました。翌 19 日は朝からケア施設訪
問(竹中理事より福祉コラムの中に報告)と午後は
基調講演 A,B,C 会議の後は場所を変えて懇親会(セ
ントラル駅近くの日本食レストラン)がありました。
懇親会でも話が尽きず危うく最終電車に走って乗り
最寄り駅からは皆さまでゾロゾロ歩きセンターの門
限 11 時はとっくに過ぎても治安の良い素敵な月夜
の心地よい散歩でした。若い参加者はこれぞ合宿の
良さで夜中3時頃まで物議に燃えていたようです。
寝不足で翌日講演を心配しましたが、余計な老婆心
で若い岡本医師の基調講演 D も成功裏に終え昼閉会
しました。
中日の 19 日は地元デーマーク日本人会から一
般会員が多数参加されてティーブレイクの時には各
国の交流が出来て勉強になりました。

テーマ A 《キャラバン-メイト認知症サポーター養
成運動について》
日本 NPO 法人地域ケア政策ネットワークが日本
全国で行っているものをドイツで取り入れた会
(DeJak-友の会のキャラバン-メイト担当)の西野
フリーデヴァルト文子氏から実例交えて実績報告が
ありました。「認知症」について正しい知識を持ち、
「認知症」の方やその家族を支える手だてを知り支
援をしていく取り組みです。キャラバン-メイト講習
は若い人にも広がり更に上のステップの目指す人が
多いそうです。
テーマ B 《もし自分の大切な人が、もし自分に何化
が起こったら》
スイスケアーチームジャパン副代表リッチャー
美津子氏のケアラー員としての今に至るまでの悩み
と問題から克服そして夢と熱く語って頂きました。
Care Team Japan Swiss(CTJ)とは将来の高齢化
を懸念し 2002 年設立の在スイス邦人の助け合いの
ボランティア組織でエンディングノートの作成手掛
けました。エンデングノートは 2012 年 ENJA 第 5
回ロンドン大会でも紹介されその後改良と拡散され
たようです。スイスナルクは参加が出来ませんでし
た。そこで英国日本人会から竹中福祉部長のナルク
のフロー説明がありました。

テーマ C 《心と身体切っても切れない関係》
日本から参加され精神科専門医で JAMSNET 東
京所属の松永優子氏に職業性ストレス簡易テストや
セルフケアの為に自分のライフスタイルの覚え書き
を実際に実践して頂きました。近年一番重要視され
る事は病気を作る前のプライマリーケアです。松永
氏は東京医科歯科大学病院 渡航者医療センターの
レジエンス外来の精神科専門担当医です。望まず海
外転勤になる場合も含め海外で暮らす者には特別ス
トレスが掛かっている為に病気に陥り易い興味深い
内容と対策法の実践(マインドセルフケア、マイン
ドフルネス、呼吸法エクササイズ)は折々会報で紹
介していきます。

テーマ D《デンマーク医療事情と欧州医師会》
岡本健医師はデンマーク在 10 年血管外科が専
門です。血管の健康を中心にデンマークで日本人医
師としての活躍をお話頂きました。動脈硬化の予防
が健康な生活を送るうえで重要です。動脈硬化を作
るファクターは喫煙、糖尿病、高血圧、高脂血症な
どで食生活の配慮と適度な運動が大切です。

デンマークは福祉国家?
90%がデンマーク人のほぼ単一民族国家です。
ノルウェー、スウェーデンと体制が似ています。共
働き国家で子供を育て易い環境が整って(保育所、
児童手当、学費無料等)います。医療システムは税
収財源の国民皆保険制で制度は UK と同じですが、
実際人口に対して医師、看護師の数を比較したら内
容は明らかに違うと言えます。特に看護師の数 UK
8.2 人(人口千人当たり)対してデンマーク 16.5 人、
因みに日本 11.0 人です。デンマークの訪問医療、訪
問看護充実は国家プロジェクトです。医師の数 UK
2.8 人(人口千人当たり)デンマーク 3.7 人、日本
2.4 人です。医師が多いに越した事はないですが、看
護職員のゆとりのある配置がサービス向上に繋がり
ます。看護師の人口比数1位スイス 17.6 人、2位ノ
ルウェー16.9 人、3位デンマーク 16.5 人になりま
す(2014 年国際比較)
高齢者への対応の原則(生活支援法 1988 年)は無
料予防対策(重篤化するまえに)とサービスだけで
なく更に老後の生活の質の向上を目指しています。
自己決定を尊重し地域住居と環境の継続(住み慣れ
た自分の家に住み続ける)可能な限り自分の体を使
い続けられるような在宅ケアと訪問看護充実によっ
て病院的高齢者施設は廃止の方向にあるそうです。
病気になって入院も儘ならない UK と大分開きがあ
り驚愕しました。
ENJA の基本条項省きますが、欧州において日
本人の抱える問題をシェアーし解決策を探る為にス
タートしました。長く途絶えた時もあり JA は
2012 年第5回ロンドン大会から参加しております。
第6回スイス大会以降確実に大会が継続する為の基
本条項作成等と次回の議題検討に連絡委員 4 名+開
催国代表によってスカイプ会議を 1,2 ヶ月間隔にて
途絶える事なく審議を行いました。
前回 2015 年第7回パリ大会より ENJA 枠組み
のしっかりした大会に至っております。今回のコペ
ンハーベンでは中身の充実が図れたと思います。連
絡委員の一人(事務局上田)として日曜夜8半以降
のスカイプ会議(過去 31 回)は疲れますが良い経
験と勉強させて頂きました。大会の議事録がまだ出
来ておりません。掻い摘んだ報告です。もっと詳し
くお知りになりたい数字など質問又ご意見がござい
ましたら事務局までよろしくお願いいたします。
(上田記)