福祉コラム
日本人男性が世界最高齢に
北海道足寄町の野中正造さん112歳が存命男性世界最高齢となり、ギネスから認定書が贈られた。1905年生まれで、まだまだお元気とか。記録更新が期待される。
戦後間もない1950年代、日本人の平均寿命は男性58歳、女性61歳だった。2017年厚労省発表によると、男性80.98歳、女性87.14歳で、今後も伸びることが予想されている。
世界一の野中さんは、雄阿寒岳の麓で百年続く「野中温泉」の二代目経営者だった。食事は一日3回、新聞各紙を欠かさず読むという。「温泉」と「マイペース」が長寿の秘訣と笑顔を見せる。
人間は、老いに任せて楽な生き方を選びがちだ。行きつく先は「生活不活発病」である。高齢者はもう一度、「よく学び、よく遊べ」を取り戻すべき、と力説する医師がいる。杏林大学名誉教授の石川恭三氏である。「一読(1日1度はまとまった文章を読む)」「十笑(1日10回くらい笑う)」「百吸(1日100回くらい深呼吸する)」「千字(1日1000字くらい文字を書く)」「万歩(1日1万歩目指して歩く)」を生活習慣に組み入れることを推奨している。
アルツハイマー病の病理学的特徴は、アミロイドβの蓄積。病理学的に判断したら、同病を発症してもおかしくない症状なのに、認知機能を保持している人が少なくないことが判明している。脳は訓練すればするほど神経細胞が活性化され、アルツハイマー病に拮抗する力がつく、と同医師は述べている。
異国に暮らす日本人は、母国語だけでなく外国語を使う日常を余儀なくされる。長年月を経て「よく学べ」が習慣化されているのである。「よく遊べ」の方は、JAが提供する各種イベントに参加するだけでも難なく解消できる。理想的な環境に置かれている、と言っても過言ではない。この幸運を最大限享受するには、先ず足腰を鍛えることである。そうすれば、野中さんのように、生涯現役で「100歳越え」もまんざら夢ではない。